O.L.~Maple Honey Syrup~
近付きたいけど、立場上無理。それに仕事だってそれなりにある。



だから些細な事で呼び、仕事を頼む。



六は公私混同!職権乱用!とかのたうちまわるが知ったこっちゃない。



どんな手段を取っても柚季の側にいたい。



「日下部クンそれは前に教えたよ?」
「そうでしたっけ?」



ヘラヘラと笑ってごまかす。柚季が熱心に教えてくれたのに…。



この野郎は…。



『日下部此処は学校や遊び場じゃない』
「はい」
『覚える気がなかったり、上の空で仕事をするなら辞めろ』



俺の言葉で部署中の空気が凍り付いた。流石に柚季も声が出せないようだ。



あれだけ柚季にべったりで仕事を覚えないからこうなるんだ。



自業自得だ…。



「この前メモを取っていたからそれを見ながら頑張ってみようか?」
「はい…」



結局柚季は優しい。



柚季と目が合い手招きする。



『これを営業部、こっちを企画部に届けてくれる?』
「はい」
『あっ、あとコレ』



宛先を告げず1枚の紙を付け足した。



【甘やかさなくていい!】



『フォローありがとうな』
「いえ」


メモと出した言葉が真逆だったので苦笑いで返事をした。



出る為に背を向けた時、フワッと柚季の香りがした。


そのまま営業部へ内線。



『六?ちょこっと営業の会議室貸して』
(「はい?」)
『だから会議室を貸せ!』
(「貸し1つだぞ」)



さて…柚季にべったりしてこよう。
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