O.L.~Maple Honey Syrup~
~如月 SIDE~



愛している人をただ喜ばせたかった。



少しでも長く笑顔が見たかった。



それだけを考えていたのに…。



麻里亜の涙を見たら、焦りと苛立ちが混沌とした。



しかし泣かせたのが俺だと知った瞬間…己の行動を悔やんだ。



それなのに咎めることをしない。ただ不安だったと伝える。



怒っていないと言う。



やっと見れた笑顔はキャラメルの香りを放ち、麻里亜の香りと混ざる。



さっき散々泣かしたのに…。もっと優しくしないといけないのに…。



隣で熟睡する麻里亜を見て再び後悔。



そっと顔を近付けると甘い香りが鼻を擽る。



「如月?」
『起こした?』
「ううん」



少し眠たそうな緩んだ笑顔…。



頑張った麻里亜へのご褒美の筈だ。いつの間にか俺のご褒美になってる。



「最高の時間をありがとう」
『それは俺の台詞…』
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