O.L.~Maple Honey Syrup~
~佐和 SIDE~



六に後ろから抱きしめられながら今日あった事を話している。



でも、空返事。いつもみたいに色々と聞いてこない。



少し拗ねたら…結構拗ねたかも…。



そうしたら出会った頃の事を思い出してたらしい。



そんな事を言われたら怒るに怒れない。



六は一目惚れしたと教えてくれた。実はあの時、私も六に一目惚れした。



でも、相手は新進気鋭の営業部の部長サン。望みなんて抱いていなかった。



普通に年齢差だってある。



そんな諦め半分だったのに六は私に告白してくれた。



まさかの出来事で号泣してしまった。お陰で六には勘違いさせてしまったけど。



「俺、今でも佐和の涙苦手」
『そんなに泣かないよ?』



だって六は悲しい思いや辛い思いをさせない。



もう、照れちゃう位の愛情を注いでくれる。愛情を表現してくれる。



「悲しい、辛い時だけ泣くわけじゃないでしょ?」
『えっ?』



それ以外で泣いたかな?記憶にない…。



「本当に可愛いなぁ」
『お手上げです』
「ベッドの上とか?」



昨晩の事がフラッシュバックし顔から湯気が出そうだ。



「思い出してくれてありがとう」
『泣いてないもん…』



なんて強がり言うけど、本当は嬉しくて幸せでいつも涙が溢れる。



「じゃぁ、泣かしてしんぜましょう」
『ただ今02:59PMですが』
「愛に昼も夜もありませ~ん♪」



お姫様抱っこされ、向かう先は寝室。



「泣かせるのも愛情表現の1つだよ」



あぁ…。愛しの六に昼間から泣かされる。



「大丈夫…。愛情のある泣かしだから」
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