俺が彼女を抱けない理由
「夕実おはよっ!」


えっ?


聞き覚えのある声が遠くの方で聞こえる。


まじかよ。。あいつ。。


絶対に目を合わせないでおこう。



「沙希〜おはよぉ!!」



「夕実〜同じクラスなんだぁ!」


「なんか楽しくなりそうだね!」



「だね!あ〜恋したいよぉ〜!」



なんなのアイツ。。。


さっきと全然別人じゃん。

その甲高い声がさっきと同一人物だとは思えなかった。





「拓!そろそろ体育館いこうぜ」


「お、おう」



なるべくアイツを避けるように俺はドアの方へと向かう。



瞬を壁にしてゆっくりと目立たないように教室の外へと出た。



「あれ?」


明らかに視線を感じる。


えっ。。見つかった?


あぁ。。。



一歩ずつこっちに近づいてくるのが分かる。


あっ来る。。


来る。。。


来たぁ。。


目の前でニヤニヤ笑う女と目を合わしたくなくて俺はわざと遠くの方を見た。





「さっきはどうもぉ〜!」


「ど、どうも」


「知り合い?」



「知り合いっていうか最低男!」



「お前なぁ!」


「アタシには香川沙希っていう名前があるんですけど!」


「あっごめん」




なんで俺が謝ってんの?





気づいた時にはすでに自分のペースがつかめていなかった。


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