俺が彼女を抱けない理由
「明日から合宿かぁ。拓はもう準備した?」
「準備って行っても特にないしな」
「女はいろいろあるんだよ。あっそうだ拓、今回の合宿って駅伝の試走もかねてるみたいだから頑張ってよ」
駅伝メンバー。。
松本先輩は確実に入るだろう。
俺も香川にいい所を見せたい。
アイツの眼中に俺が入ってなかったとしても、その結果に喜んでくれるなら頑張りたい。
中学の時、母親に振り向いて欲しくて一生懸命走ったけど無意味だったのを思い出す。
俺は本当に振り向いて欲しい人にはいつも振り向いてもらえない。。
「ねぇ。聞いてる?」
「ん?」
「だからぁ。ジャージの下破れてるって!」
「あっ」
「脱ぎなよ」
「ここで?」
「何恥ずかしがってんの?誰も見てないって」
「お前無茶だな」
なんとか更衣室で脱ぐことを許された。
不器用だし縫い目もかなり大きいけど嬉しかった。
「はいどうぞ」
「ありがと」
「じゃあ明日ね」
「おぅ明日」