バーチャルウォーズ
同じクラスの中でもまだざわついているのは、お互いがまだいろいろわかってないからなんだなぁ・・・と雪美は思った。

ましてや、生徒会の活動なんてクラス役員に選ばれなければ接点すらほとんどない先輩。


校則違反を楽しんでいるならともかく、地味な毎日を送り、さっさと家に帰る雪美には放課後に手帳を会長から返してもらったらそれっきりになる。

そう思っていた。


20分前までは・・・・・。



「このクラスのクラス代表は高井くんと浅岡さんに決まりました。
 2人でこのクラスをまとめていってください。

2日後に代表委員会がありますから、クラスの代表として出席するようにしてください。」



雪美は髪の毛の説明でもう無駄な時間はとられずに済むと喜んだのもつかの間、まさかの役員に選出されてしまい、放課後に思ってもいなかった時間をとられることになってしまった。


(はぁ・・・手帳をとられてしまった私がどうしてクラスの代表なわけ・・・。

こんなことになるんだったら、クラスの風紀委員に立候補しておけばよかったわ。
そしたら、松永先輩とまたお話できたのになぁ。)


そんな後悔をしながら、まだ1度も訪ねたこともない生徒会室のドアをノックした。


「どうぞ~」


「失礼します・・・。あの、1年A組の 浅岡ですけど・・・」


「あ、手帳ならそこの緑色のカゴの中にあるから。」


「は、はい。すみません・・・。」


「あ、手帳取ったらこっちにきて。」


「はぁ?な、なんでしょうか。」


雪美が生徒会長 菅野咲の後ろ側に近づくと咲は見ているパソコン画面を見るように指示した。


「運営委員会のプログラムとクラブ紹介、教室紹介なんかのパンフレットの表紙なんだけど・・・右と左・・・どっちのデザインが好きかな?」



「えっ、そんな重要なことを私が決めちゃっていいんですか?」


「べつに部外秘書類ってわけじゃないし、重要じゃないって。
イラストなんかもネットで集めたものだし。

2つにしぼったものの、どっちにしようか決めかねてて、いつもならこういうときに執行部の誰かがいて意見をもらうんだけど・・・今日はこの部屋OFF日だからね~」


「あの、左の方が私は好きかも。シンプルな方が見やすいですし、右のは文字が目立たないかなって・・・。

この部屋OFFって私の手帳のせいで、わざわざ残っておられるんですか。」



「あ・・・・・。いや、違反者は君以外にもっといるから。
左か。そうだね・・・ありがとう。


でも、この部屋には他の違反者は来ない。教室が俺と近所なので返しておいた。

君を待ってたのは確かだ。」


「えっ・・・!私を待ってたって・・・。まだ何か・・・?」


「今朝、廊下を走った罰だと言ったけど、風紀委員がみんなで君を追いかけまわしたらしいし、ぶつかった後にとても震えていたのが気になって。

髪の毛の色の届け出だけど・・・君に3年間安心して学校生活をしてもらうために今ここでちょっと色落ちテストさせてもらいたい。」


「テストやっぱりするんですか・・・。」
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