バーチャルウォーズ
帯は、金色に近い黄色にしてもらい浴衣選びは無事すませることができた。

その後、デパ地下で買い物をして、カフェで休憩して3人は帰宅した。


夕飯までの少しの時間・・・咲は雪美と2階の廊下で立ち話をしていた。


「昨日さぁ・・・俺、雪美に何か言った?それとも・・・何かした?」


「どうしたの?」


「いや、なんか・・・今日は雪美がいつもと違う気がして。」


「いつもはどうだって言いたいの?」


「おばさんがほら・・・今日は素直だって。」



「私だっていつもピリピリしてるわけじゃないわ。
きれいな着物を目の前にすれば、いちおう女の子なんだもん・・・。

それに咲が選んでくれた柄は、私もいいなって思ってたから。」


「そ、そっか。ならいいんだけど・・・。

俺の記憶というか夢なのかもしれないんだけど・・・俺は昨夜、酔ってたせいで君にあまえてしまった気がして・・・。」


「甘える?」


「俺の腕とか胸とか・・・起きるといい匂いがしてた。
竹井妹といたときは制服だったから、部屋着でっていうと・・・。

なぁ、何か隠してないか?
もしかして・・・俺もスケベ先生と変わらないことをやってしまったんじゃないのかなって。」


「だったらいっしょに買い物になんて行くわけないじゃない。」


「そ、そうだよな。
けど・・・俺に移った匂いの説明がつかなくてさ。」



「説明なら簡単よ。ここに松永先輩に咲を運んでもらって、いっしょに
着替えさせて布団をかけたりしたからそのときについたんじゃないかな。」


「そう?ほんとに?」


「うん・・・。何がそんなにひっかかってるの?」



「いや・・・べつに。」


何か言いたげだけれど、困惑しているような咲を見ているうちに雪美は


「酔いを醒ましたらキスしてくれるか・・・って。」


「なっ!!!!っ・・・やっぱり。」


「けっこう覚えてるんでしょ。バカッ!
心配しなくていいよ。酔っ払いの戯言だってわかってるし。

それより、頭が痛いのに買い物つきあってくれてありがとね。
じゃ・・・。」



「お、おい・・・。」

(戯言か。あれ以上正直者にはなれないくらい、正直に言った言葉だったのに・・・。)


翌朝、登校してすぐに全体朝会の準備で当番に当たっていた雪美は咲にずっとベッタリくっついている竹井真菜を見かけた。


「なんか、咲がだんだん元気なくなってきたよな。
つらそうに見える・・・。」


「好かれちゃってるんだから仕方ないじゃないですか。
嫌だったら真面目に断ればいいんですよ。」


松永は顔をしかめながら雪美に話の続きをした。


「なんかね、1~2年の咲のファンの女の子たちが急におとなしくなったから話をきいたんだけどさ・・・。

咲とかかわった時間が長いかなって作業した女の子が次々と怪我をしたり、物がなくなったりしてるらしいんだ。」


「えっ?それって・・・」


「竹井真菜が何か裏で動いてるんじゃないかって・・・読んでるんだけど。
証拠がないんだ。」
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