ベストマリアージュ
やっぱり、優也は言ってないんだ。


優也は何がしたいんだろう?


私とさとしの仲をこじらせたいなら、キスのことも全部バラせば済むことなのに、いつも肝心なことは黙ってる。


それで私に恩を売ってるつもりなんだろうか?


もしかしたら弱味を握って別れさせようって魂胆なのかもしれない。


「上のレストラン……あいつと行ったんだろ?」


悔しそうにそう言われて、小さく頷くことしか出来なかった。


「じゃあ、夜景もあいつと一緒に見たんだよな?」


ポソリと出た言葉はどうやら私に向けられたものじゃなくて、一人言。


自分が一緒に見るはずだった夜景を、優也に取られてショックだったみたいだ。


「でも、私、それどころじゃなくて……

あんまり見てなかったかも……」


そう言い訳してみるけど、さとしは全然納得していないみたいで、ますます頭を抱える。


「すっっげぇ、楽しみにしてたのに

なんであいつにいいとこ取りされなきゃなんねぇんだっつーの

あー時間巻き戻してぇ!」


頭をかきむしりながら、さとしはポスンとそのまま後ろにひっくり返った。


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