ベストマリアージュ
「またまたぁ、お隣のお姉さんがどんどん綺麗になって、嬉しいくせに」


おどけたようにそう言うと、さとしはベッドからだるそうに体を起こして、また私を睨んだ。


「どこがだよ!化粧もろくに出来ねぇくせに!」


「だ~か~ら!教わりにきてるんじゃない」


「つーか、一回で覚えろよ!

何回教わりに来てんだ!」


私は、首を傾げながら、指折り数えて、5回?と答える。


「5回?じゃねぇよ!

週に一回しかない貴重な休みを、なんでお前にずっと潰されなきゃなんねぇんだ!」


「だあってぇ、難しいんだもん

一応、自分ちでもやってみるんだけどね?

さとしがやってくれた時みたいには可愛くならないから……」


ハァ~と、盛大な溜め息が聞こえてくる。


それからチッと舌打ちが聞こえて、ゴソゴソとベッドから立ち上がる音がした。


「ほら、貸してみろよ?」


こういう面倒見のいいとこは、結構好きだなと思う。


決して恋愛感情ではないけれど、昔の可愛かった頃と重なる部分があるのかもしれない。


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