ベストマリアージュ
「慰謝料は!

あ……たしが、いらないって言ったんだも……」


「ふざけんな!それでも普通は払うもんだろ?

あっちが悪いんだから!」


私のために怒ってくれてるんだってことは、わかる。


でも、大地の悪口をさとしの口から聞きたくはなかった。


「別にいいでしょ?」


プイと横を向いて、反撃するも、さとしはますます憤慨するばかりだ。


「よくねぇよ!

あんなバカ男のために、お前に協力してたんだと思うと、ヘドが出る!」


そんな言い方……しなくても……


「だって!別に嫌いになって別れたわけじゃないもん!

大地も私のこと好きだって言ってくれた」


「なんだ?それ?

なんで好きなのに浮気すんだよ!おかしいだろ?」


「だからそれは……

私が一番じゃなくなった……だけで……」


「……好きだけど、一番じゃないとか言われたのか?」


「……」


「お前、馬鹿だろ?」


いつものそれとは違う響きに、私は怖くなる。


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