温め直したら、甘くなりました

「―――集、なんで……遅くなるって言ってたのに」


「先生、原稿放り出してなにやってるんですか!」


「なんで?なにやってるんですか?……その言葉はそっくりお前たちに返す!俺に隠れてコソコソと逢って、いやらしいったらないぞ!」



そう叫んで、肩で息をしながら二人を交互に睨む。


茜はエプロンをつけて何かの料理の途中なのか、手にはおたまとふきん。

安西は浮かれたとんがり帽子(紙製で、子どもが誕生日会かなにかでかぶるような安っぽい帽子)をかぶり、手にはこれまた浮かれた蛍光色のクラッカーを持っていた。


二人で何かを祝おうとしてたんだな?

なんだ?浮気がばれなくてよかったね記念日か?



「茜さん、どうやら先生は激しく面倒な勘違いをしている模様です」


「私も今、そうなんじゃないかと思っていたところ……」



二人はそろって、冷ややかな目で俺を一瞥した。

なんで被害者である俺がそんな目で見られなければならないんだ。理不尽な仕打ちに怒りがこみ上げる。



「俺は知ってるぞ。昨夜お前たちが仲睦まじく買い物をし、そのあと食事まで共にしたことを……!」



切り札のようにその言葉を二人にぶつけた俺だったが、またもや二人の冷たい視線攻撃に遭い心が折れそうになった。


なんだよ、二対一なんて卑怯だぞ……

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