温め直したら、甘くなりました
――朝は、あんなに晴れていたのに。
バケツをひっくり返したような雨が、昼前になって急に降り始めた。
……空のやつ、俺に何か恨みでもあるのか?
「……先生、こんな雨ではお花見どころではありません。ああ、パソコンが濡れてるじゃないですか、はやく保存して閉じてください」
どこかで調達してきたカッパをとタオルを俺に手渡しながら、安西が言う。
お前がここで仕事をしろと言ったんだろう……と反論したいが、この雨の中無駄な言い争いはしたくない。
俺はパソコンを軽く拭いて安西のカバンにしまうと、カッパに袖をを通してブルーシートに座り直した。
「先生、座ってないで早く屋根のあるとことに避難しましょう」
「いや、俺はここで茜を待つ。その為に傘じゃなくカッパを頼んだんだからな」
「……正気ですか?」
「お前は帰りたければ帰れ。どうせパソコンももう使えないしな」
話しているうちに、さらに雨足は強まってきた。
これじゃ、せっかくの桜が散ってしまうじゃないか……