ユリアノート
邪馬台国

1

一方、そのころ邪馬台国では。

卑弥呼は一人でフジノ王子の墓(古墳)参りをしていました。

「卑弥呼様、こんなところにいらっしゃいましたか」
一人の女が卑弥呼に話しかける。

「イヨか……ふむ。考えごとをしておってな」

「考えごと……でございますか?」

「そうじゃ。この戦争が嫌になってきたのじゃ。無意味に民や兵の命を失うだけじゃからな」

「これは御戯れを。元はといえば、ユリア国から仕掛けた戦争でございます。徹底的に奴らを殺さねばなりません」

「いや。和睦をし、戦争をやめようと思う。ルナア島に向けた五万の兵に帰還命令を出すつもりだ」

「それでは今まで邪馬台国の為に死んでいった者達に、申し訳が立ちませぬ。お考え直しを!」

「しつこい! 女王の言うことがきけぬのか!? ひかえよ!」



イヨは卑弥呼の親戚で血の繋がりもあり、卑弥呼の身の回りの世話を長年してきた女性でした。しかし、国政に関してしばしば卑弥呼と意見が食い違うことがあったのです。


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