怖がりな兎さんとからかう狼さん
 先輩が抱きしめながら、座りなおしたときに髪の毛が触れて、くすぐったかった。

「やだ・・・・・・」
「こっちを向け。へぇ、いいな。そういう表情。息は乱れて、全身は熱くて、震えていて、泣きそうになっていて・・・・・・」

 頬から首筋にかけて、ゆっくりと撫で下ろした。
 視界がぼやけて、息はさっきより荒くなった。

「男が嫌いだとか、苦手とか言っている割には興奮しているな。なぁ、言っていることとなんか矛盾していないか?」

 声を出そうとしたが、うまく出せなかったので、首を横に振った。

「退屈な日々から抜け出せそうだな。俺は風音でこれからたっぷりと楽しませてもらう」

 それを耳にした瞬間、自分の喉が鳴った。先輩はそれに気づいたらしく、意地悪な笑顔になった。

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