怖がりな兎さんとからかう狼さん
 今は誰もいない教室にいて、向かい合わせで椅子に座っている。

「部活が始まりますよ」
「入っていない。風音もだろ?」

 なんだ、入っていないんだ。じゃあ、帰ればいいのに。

「そんなあからさまに残念そうな顔をするなよ」
「そんな顔をしていません」

 気分を変えようと、鞄からお菓子を取り出した。最近はまっている物はチョコラスク。 

「美味いのか?それ」
「もちろん。美味しいですよ」
「そうか」

 海翔先輩は当たり前のように袋の中に手を入れて、そのままラスクを一つ食べた。

「あ!」
「どうした?」
「勝手にお菓子を取らないでください!」
「お前、食い意地が張っているな」
「そうじゃなくて・・・・・・」

 味が気に入ったのか、一つまた一つと取っていく。
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