遠距離恋愛。


翌日。


~♪

耳元の携帯が朝を知らせる。


少しだるい体をやっとの思いで起きあがらせると、
眠いという思いと共に昨日の悲しい気持ちが頭をよぎった。



「ふあぁー。ねむー。」


昨日はあれからずっと泣いてて、たぶん睡眠時間は三時間にも達していないだろう。




もうすぐ学年末テストだっていうのに、私は何をしてるんだか…。



自分に半あきれながらも、
着慣れた制服に腕を通す。





準備をして家を出ると、
外はまだ少し薄暗い。


時計を見ると、針は
6:30分を指していた。


そんな早い時間に、
家を出て駅に向かう。


もう慣れたから平気だけど。




私の通う学校は、
私の家の隣の隣の市にある。

私立桜生学園中学校兼私立桜生学園高等学校。


私が通っているのは、中学校のほうだ。
こう見えて実は中学生なんです。


14歳で165㎝という高身長と、
茶髪ストレートロングという髪型のせいか
初対面で中学生に見られたことは一度もない。


ほぼ高校生に見られるけど、
私服だと大学生に見られたことも少なくない。





電車に乗り、2駅で降り、乗り換えして1駅でまた降りる。
そして駅から徒歩15分ほどの場所に学校はある。


この時間の学校の最寄り駅は、桜生学園の生徒でいっぱいになっていた。



「ゆいー!!!」
人混みの中で呼ばれた名前。


視線の先には、私に向かって手を振る、親友
小崎 瑠奈実(オザキ ルナミ)の姿。

「るーな、おはよう」
「おはよー!何か元気ないねー?」
「いやあ…」

気づかなくていいのに…

「なに、富田先輩?」
「うん…」
「何かあったの?」
「いや、諦めようと思って!」
「早くない?!」
「んー、…もしかしたら最初から好きじゃなかったのかも!」

そう答える私の顔を見て、
疑わしい目線を送ってくる瑠奈実。


「嘘はつかないほうが良いと思うけどなー」
「…」


そんなこと言ったって。
嫌われたんだから仕方ない。


「でもとにかく、富田先輩のことは諦める。それは決めたことだから。」
「…そっか。」



男なんて、皆信用できない。
一生愛してるって言っても
いつかは離れていく。

傷付くのは自分なんだ。

だったら
最初から信用しなければいい。


そう、私は心の中で自分に言い聞かせた。
< 3 / 5 >

この作品をシェア

pagetop