イジワルするのはキミ限定*


それだけを思って、私は目を閉じた。



――ザワザワ……



すると、数秒して幕が上がり、お客さんのほうからザワザワと声がし始めた。



きっと、水沢くんが出てきたんだと思う。



その証拠に、小さな声だったけど「水沢くん、ホンモノの王子様みたい……」と女の子のウットリした声が耳に入ってきた。



『王子様、お願いです。愛の口づけで白雪姫を目覚めさせてくださいっ』



この高くてかわいらしい声……青木さんだ。



青木さんがそう言うと水沢くんが『かわいそうなお姫様。今、私の口づけで目覚めさせてあげます』と優しい口調で言い、そっと水沢くんの手が私の左ほほにそえられた。



ビクッと体が反応して、こわばってしまう。



キス……本当にするんだよね。



いくらほっぺただとしても、これは私にとってはじめてのキス……。




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