【完】うしろの席のオオカミさん
「わ、わたし近くのコンビニに行ってくるね」
大上くんの話になると上手く返せない。
さすがにお姉さんの前で大上くんが嫌いなんです、なんて言えない。
コートを羽織ってブーツを履いて…
よし、準備完了。
息抜きに散歩ってのもいいよね。
外はすごい寒いけど。
「さっむ……」
ポケットに手を突っ込んでコンビニへと足を運ぶ。
短すぎる冬休み。
もう試験の日はそこまでやってきている。
体調管理もしっかりしなきゃな。
そういえば……風邪治ったのかな。大上くん。
「……えっ」
ちょっとちょっと、わたし!
なんで大上くんのこと心配してるの!?
ため息とともに出た白い息は空へと消えていった。