【完】うしろの席のオオカミさん


浴衣を丁寧に畳んでバッグの中に入れる。


鏡でサッと変なところがないか確認してトイレから出た。


二人はどこで待ってるんだろう。
教室の前かな?



「おーい、日向子」




今一番聞きたくない声が耳に入ってきた。


その声でわたしの名前を呼ばないで。
…………見ないでよ。



「俺と一緒にまわろ」


「む、無理。莉乃ちゃんと愛華ちゃんと約束してるから」



わたしと同じTシャツを着ていてまくった袖からは細いけどがっちりとした二の腕が見えていた。


トイレの前で出待ちですか……



どんな嫌がらせだよ。



< 69 / 266 >

この作品をシェア

pagetop