【完】うしろの席のオオカミさん


「……俺さぁ、キスして泣かれたの初めてなんだよね」



“キス”という単語に身体が反応する。
腕の力がふっと抜けた。 



「そんなに嫌だった?キス」


「嫌に決まってるでしょっ?したいんなら他の子としてよ……!」




キッと睨みあげるけど余裕そうな笑みを浮かべる大上くんにさらに腹が立ってきた。



わたし、からかわれてる。



伸びてきた手をパシッと払って思い切り睨みつけた。


今にも噛みつきそうな勢い。

そんなわたしを笑顔で見下ろすこの男。



「奢ってやるから。好きなものなんでも食え」




この人は食べ物で解決しようとしてるの!?



< 71 / 266 >

この作品をシェア

pagetop