【完】うしろの席のオオカミさん


さっきの笑顔はどこにいったのやら真顔のままジリジリと詰め寄ってくる大上くんにわたしは後ずさる。


背中に感じるひんやりとした壁の感触。


わたしたちをジロジロ見ながら通っていく人たち。


……やばいぞ。
これは完璧怒ってるかも?


誰かわたしを助けてくださいっ!



「……ムカつく」




頭の上で聞こえた冷たい声にドクッと胸が嫌な音を立てた。


ムカつく、って……


わたしの方がムカついてるし!



「なんで俺のこと嫌いなわけ?言ってみろよ」




トンと壁に手がついた音。
すぐ近くに感じる大上くんの存在。


もう……やだ。どうしよ。
逃げられないよー……


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