【完】うしろの席のオオカミさん
通り過ぎたと思って何気なく空を見上げてみると今度は違う方向からまたヤツが。
かなりの低空飛行。
「む、無理……っ!カラス無理ーっ!」
持っていた鞄を手放してわたしは半泣き状態で走りだした。
あの黒い鳥が昔から大の苦手。
鳴き声が無理。
あのくちばしが無理。
存在自体無理なのだ。
存在価値あるの?あの鳥は。
目にたまった涙でぼやけてだんだんとまわりが見えなくなってくる。
「きゃ…っ!」