久遠の剣客
銀狼の言葉に毎日うなされる夢のひと場面が蘇る…。
小さくなり光のように私の吸い込む息とともに喉に舞いこんだ…化け物の散らばった九つの尾…。
急に両手で口を塞いだのをみて母が言葉を発する。
「……大丈夫????
まさか車酔い?」
『大丈夫』と慌てて手話で伝えてバックシートの銀狼を睨んだ。
――気味の悪いこと思い出させないで……!!
そんな私をよそにチラリと私の様子を見て立ち上がるとフロントガラスから空を眺めた。