ジャスミン【短編・完】




ことの家は、コンビニから20分ほど歩いたところ。


遠くはないけどこの道は暗くて危ないと思う。


もっと明るいとこに住めばいいのに。



「高校生を家にあげるのってやっぱりなんか罪悪感…」

「俺は嬉しいけど?」

「でも犯罪じゃないかな?あたし年だし…」

「ことは若いよ。クラスの女子より可愛いし。」

「はいはい、ありがとね。」

「…ホントなのに。」



ひらひらと手を降って、洗面所に入って行く。



ことは俺のことなんかなんとも思ってないんだ。


付きまとって来る高校生、くらいかな。


…俺の名前も、覚えてもらってる自信がない。




「こと、」

「うん?」

「俺の名前、分かる?」

「…は?」



何を言い出したのか、とでも言いたそうなほど不思議な顔をされた。



それでもめげずにことを見ていたけど、ぷいっと顔をそらされた。



…ショック。


ホントに覚えられてないみたいだ。




「こと、彼氏は?」

「あのねえ。」

「もうふっきれた?」

「……キミねえ。」




ことの表情で何を言いたいのか分かる。



“よくもまあそんなにコロコロと話を変えるわね、”とか。そんなとこだろう。


ことってわかりやすい。



< 2 / 4 >

この作品をシェア

pagetop