【続】隣の家の四兄弟

アキラside



結局、セイジってば起きてこなかった!


綾瀬家を出て、エレベーター前に立ちながら、そんな不満を心で漏らす。


あれからコウシロウやコウちゃんが言ってた通り、“ミナト”が帰って来て。
想像以上にたくましく大きなミナトに驚いたけど、話してみたらなんだか可愛かった。


コウちゃんといい、コウシロウといい、顔は綺麗だし。ミナトやセイジはオトコ! ッて感じで魅力的。
あんな兄弟がいるなんて、本当すごい奇跡だわ。

しかも、その兄弟と幼馴染だったなんてすごい幸運よね!
チハルったら、それをすぐ報告しないだなんて。まったく、チハルはどっかのんびりしてるとこあるのよね!


ポン、と鳴ったエレベーターに足を一歩踏み出す。
身を翻して、ドアを正面に構える。閉まって行く扉を見ながら考える。


「次の休みも来ちゃおうっと」


すっかり夜になった外に出て、カバンから携帯を取り出す。


「あ」


しまった。連絡先交換しなかったわ、わたしとしたことが。

セイジったら全然会話にならないんだもの! 話すのに夢中で番号まで聞けなかったし。
コウシロウのは聞く気なかったし、ミナトもなんとなく同じ感じ。

ああ、せめてコウちゃんの連絡先くらい聞いておけばよかったかな?



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