姫はワケあり黒猫様
「2人とも遅いよ」
『ごめん…』
紅羅が呆れた様に私達を見て机に頬を付いた。
「どーせチビ女が起きなかったんだろ?」
……何でわかったんだこの野郎。
ジロっと夕季を睨むと夕季は勝ち誇った様に「ふふん」と鼻で笑った。
クッソいつか仕返ししてやる。
心に誓っていると、玲が手を引きながら私を椅子に座らせて、玲も椅子に座った。
『今何してるの?』
「体育祭の競技決めだ」
響が嫌そうに顔を引き攣らせながら言った。
『体育祭かぁ……』
運動はあんまり好きじゃない。
いや、好きだけど競うとかが無理。
皆でざわざわと離していると、洸が教室に入ってきた。
私を目に入れた瞬間瞳を輝かせた。
「那琉、久しぶりだなッ」
『うん、そだネ』
気のない返事を返すと洸は教卓をバシバシ叩きながら黒板に種目を書き始めた。
片手でよく書けるよな。
ボーッとその様子を見ていると、洸は私を横目に見て笑った。
「那琉は100Mだな」
『……まぁ、しかないし』
むすっとしながら言うと、洸はケラケラ笑った。