姫はワケあり黒猫様




『おーでかいでかい』



「棒読みだなてめぇ」





苦笑して見せる玲に何と反応して良いかわからずこちらも苦笑で返した。




「親父もおフクロも今は出かけてる。




夕方頃に帰ってくる」





『え、挨拶してく!』




「……あぁ」



玲は嬉しそうに微笑みながら私の頭を撫でた。




それに目を細めながら庭歩いていると、いつのまにか玄関に着いていた。





扉を玲が開けると、ふわりと温かい風が吹いた気がした。



家の中はシンと静まり返っている。


だけど、どこか温かい。




『……玲。』



「ん?」




『どこの部屋に向かっているの?』





黙々と手を繋ぎ引かれながら歩いているけど、どこに向かってんの?




「俺の部屋だけど」



『……』



「……嫌なら客室に…『行くっ!玲の部屋メチャクチャ興味あるんだけど!』





でも、シンプルそう。



何か……黒と白で纏められてそう。





「……そうか」



また、手をつないでない方の手で頭を撫でられて頬が赤くなる。





ドアがちょいちょいあったのに、急に途切れてシンとしたところに、一つ扉があった。



それが……




『玲の部屋?』



「あぁ」




答えながら扉を開ける。




その姿がどうもカッコよくて、また心臓が暴れ出す。





私の気も知らない玲は固まっていた私の腕を引っ張って笑った。




「行くぞ。緊張なんてするな」




するでしょ、普通。





『う、わぁ……綺麗…』





白い壁に上に天窓がついていて、太陽の光がキラキラと部屋を照らしていた。






『綺麗だね』


「まぁ……」



照れたように頬を掻きながらソファに座る玲。




ソファは2つあって、1人用なのか2人用なのか微妙な線をいってるサイズ。





……玲と違う方に座ろうかな。




直角に置かれている玲と逆に座ろうとすると、腕をグッと引っ張られてそちらに倒れこむ。






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