bloody mary


俺は昔、安藤 J 怜(アンドウ J リョウ)だった。

鼻血塗れの殺し屋じゃねぇよ。
名前が違ェだろ?

資産家で日本人の父。
元モデルでイギリス人の母。

その二人の一人息子である俺は恵まれた容姿を持ち、裕福な家庭で何不自由なく育った。

成績優秀。
スポーツ万能。
友人も多く、学校でも人気者。

少女マンガで言うトコロの王子系ってヤツ?

もちろん女のコにもモテた。

まさに順風満帆な人生。

高校生の時、海外旅行に出掛けた両親が紛争に巻き込まれて同時に亡くなるという不幸に見舞われた。

だが、品行方正な上に巨額の遺産を相続することになった俺は 引き取られた親戚の家でも優遇された。

親族にあたたかく見守られ。
友人に励まされ。
当時の恋人に支えられ。

悲しみを乗り越えた俺は難関大学の受験に成功し、数年後には医師国家試験にも合格し、見事医者としての第一歩を踏み出した。

なんだかんだ言って、やはり順風満帆な人生。

いつだって愛に満たされて。

人生は喜びに満たされて。

全てを手にしていると、この先も全てを手にできると、信じて疑わなかった。

未来も愛と喜びで溢れていると 心から信じていたンだよ。

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