蜜愛シンドローム ~ Trap of Kei 2 ~



卓海の声がみるみるうちに小さくなっていく。

それと比例し、いつもの鬼の顔からしだいに血の気が引いていく。

兄が何を言ったのかはわからないが、どうやら卓海は納得したらしい。

やがて卓海は肩をすくめ、絢乃に向き直った。


『……わかった。これは捺印して部長に出しておく』

『……え?』

『ちゃんと出すから心配するな。……ほら、行け』


卓海はため息交じりにひらひらと手を振る。

絢乃は首を傾げながら、個室を出た……。



< 28 / 179 >

この作品をシェア

pagetop