学童野球物語
3☆真夜中の練習☆
 大島さんが来て僕等は野球の奥深さがわかってきた。
ただ投げて打つだけが野球じゃないんだ。

 いくらパワーのある選手を揃えても野球をわかっていなければ勝てないという事。
いくら速い球を投げれてもストライクが入らなきゃ試合にならないということ。

 こんなちょっとしたことがわかってきただけでも僕等は前より野球が面白く感じるようになったんだ。



 そういうのがわかってきたり面白くなるともっと野球したいって思うよね。


 「俺たちで夜に特訓しないか?」
 
 意外にもそう言い出したのがモトだった。


 「夜に特訓?ボール見えないじゃん」

 卓がいつもの口調で答える。

 「ボール使った練習じゃなくて基礎的なことだ。素振りしたり走ったり」

 僕はやりたいと思った。

 夜にみんなで集まって練習するとか楽しそうだし何よりおとなしいモトが自ら提案した事に反対したくなかった。 

 「やろう!」

僕が言う。


みんないっせいいうなずく。


 けど、ここで大きな問題があったんだ。僕等は小学生。

そう簡単には夜に抜け出せないということだ。

 とりあえず夜の9時に港川公園に集合。


 
 僕の場合は簡単だった。

 亮と遊びに行って来る。って言うと僕のお母さんもお父さんも何も言わない。

 
 亮も僕と遊びに行って来るって言って抜け出してきたらしい。

 
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