夜桜と朧月

季節も秋から冬へと移行し、今までの服も着れなくなってきたので、まとめて買いに行こうとお義兄さんが言ってくれた。



街には煌めくイルミネーションが飾られ、浮き立つ人々で溢れ帰っている。



そんな季節。



お義兄さんと咲希と多希、買い物に出掛けるのは初めての事だった。



「……あの、さ、今二人のオムツのサイズって何かな?」



双子用のベビーカーを押しながら、しどろもどろになったお義兄さんが言う。



「今は、Sだとちょっとキツいぐらいで、Mだと少し緩いんです。メーカーによって違うから、今はこのオムツにしているんですよ」



あれ?ノートにその事は書いていなかったっけ?



「あぁ、ごめん。育児に関しては、真愛ちゃんに全部任せっきりだから……。でもあのノート、すごくありがたいよ。困った時の対処法が全部書いてあるから」


「そんな事ないですよー。あ、この服どうでしょう?丁度二つだけお揃いのが残ってる」



わたしが手に取ったのは、ピンクの女児服で、猫耳と尻尾がついた、暖かそうなファーのおくるみだった。


「いいね、それ。俺さ、この帽子も買いたいんだけど……」



おずおずとお義兄さんが出してきたのは、サイドに天使の羽根が栄えた白い毛糸の帽子。



「あっは。可愛いですね。似合いそう」



お義兄さんは顔を赤くして、カートの中にそれを入れた。お義兄さんはお義兄さんなりに、この二人の事をとても慈しんでいる。それが感じられて、つい微笑ましくなった。


「あと……は。靴下かな?」


売り場を移動しようとすると、お義兄さんはちょっと困ったような顔をして、私に黙ってお金を渡した。


お義兄さんの不可解な行動に、怪訝そうな顔をすると、鼻の頭を掻きながらぽそりと呟かれた。

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