夜桜と朧月

「久しぶりー!!元気ぃ!?」


「そっちこそー!」



懐かしい顔ぶれ。



高校時代、共に過ごした仲間達。



皆に後押しして貰って、私と楓は付き合うことができた。私達の為に、一緒に悩んで励ましてくれた、かけがえのない友人達……。




それなのに………。




「まだ揃ってないけどさ、時間制だから始めちゃお?とりま皆、飲み物は?」



幹事の大濠君の声にビールっしょ、と答えたのは中洲君。うん、乾杯にビールは仕方ないよね。



ビールが運ばれて来ると、大濠君が立ち上がって音頭をとった。





「えー!本日は一応旧友会の名目でお集まり頂きましたが!ご存知の方もいらっしゃるとは思います通り、ここに同席している赤坂君と藤崎さんが、この度、結婚することと相成りました!!ささやかながら、ここでお祝いの音頭とさせて頂きたいと思います!!皆さん、いいですか?それでは……カンパーイ!!!!」



皆が、かんぱーい!!!!とはしゃぐ中、私はあんぐりと口を開けたまま、ジョッキを上に差し出していた。



えっ?赤坂君と藤崎が!?


知らなかったよ!?



赤坂君は、楓の一番の友人で、高校時代は私も色々相談に乗って貰っていた。


藤崎は、私と同じバトン部で、厳しかった練習を共に潜り抜けてきた、いわば戦友みたいなもの。

高校に通ってる時は私や楓を通してしか、一緒に遊んだ事なかったんじゃなかったっけ……?



この二人、いつの間に付き合ってたの!?高校の時はお互い別に彼氏彼女がいたよね!?



「え?え?私、ちょっとついてけないんだけど。藤崎と赤坂君、マジなの!?」



隣でオヤジの如く、焼き鳥を串から外しもせずに喰らうチヒロに、呆然と聞いた。



「ん?あー。付き合い始めたのは去年の秋頃みたいだよ。で、お互い高校ん時からの仲だし、ちょっと付き合おっか、って言ってたら、授かっちゃったらしいんだよね」



………授かったって………


「デキちゃったみたい。赤ちゃん」


本当に?



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