夜桜と朧月
それから夕食時にて。



蛤のお吸い物とちらし寿司、唐揚げなどは割りと好評だった。


なのに何で誰も菜の花のおひたしは食べないのよ!?折角作ったのに!



色々あってギスギスした雰囲気は何故かハイテンションに摺り変わり、お雛様の前で卓飲み会に変わっていた。


哺乳瓶に好きな赤ちゃんジュースを入れて飲んでいる咲希と多希はご機嫌麗しく「あたちの話を聞きなしゃいよ!」みたいに何やら喃語を喋っているし、そのパパは悪酔いして私の上に覆い被さっている。

まだ早いでしょ。



這う這うの体で皆を寝かしつけた時には体力を使い果たしたかの如く、ぐったりだった。



一人でゆっくりお風呂に入ろうと、脱衣場で下着まで脱いだら……。

一端はベッドに入ったはずの人が起きてきた。

「……寝てていいよ?……」

「嫌だ。お前、サービスするっつった。ほら一緒に入んぞ」


ああもう面倒臭いなあ!!


などと言えるはずもなく、二人で一緒に入浴する事になった。


それからも薫は我が儘を仰り、避妊しなくても良いか?(つまりナマで)だの、縛って良いか?だの、散々だった。


さすがに避妊は譲れなかったが、軽く手首だけ縛るのは許してあげた。



本人曰く「もう既成事実作っちまえば、見合いなんか持って来ねーだろ」との事で。





そうなって一番困るのは薫だと思うけどね。うん。



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