夜桜と朧月
結局、最後には真愛は、俺を赦してくれた。



思えば、そこから間違えてしまったのだ。




赦された俺は「浮気はバレなければ大丈夫」と、タカをくくって浮気をしまくった。


最初は勿論罪悪感に苛まれた。


だが、溜まる一方の性的な欲求はどこかで解消しなければならないのに、どうせ真愛には拒否されるのだと思うと、それはそれで正当なモノではないかと考えるようになっていた。


はっきり言えば、バレていないと天狗になって、スリルを味わっていたのもあるだろう。




そんな状態で2年が過ぎていた。



最後に真愛を抱いたのが何時だったのか、それが思い出せないほど前だったと気付いたのは、浮気相手の一人とホテルで事を終わらせてシャワーを浴びていた時。



タオルのみ腰に巻いて部屋に戻ると、女が俺の携帯を弄っているのを見た。


「……何してんの?」

「あ……いや、何でもないよっ」


焦った様子の女に疑問を抱いて自分の携帯を確かめると、未読だったはずの真愛からのメールが開封されている。


「……勝手に読んだ訳……?」


怒りに任せて女を問い詰めると、女は全て白状した。


真愛と俺との間でやり取りしたメールを全て読んだだけではなく、真愛のアドレスや携帯番号を俺の携帯から転送し、嫌がらせのメールや電話をしていた、と。




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