おうちにかえろう
ずっと連絡のなかった母から、音沙汰があった。
それが、離婚届だけなんて…本当に、言い方はおかしいけれど、期待を裏切らない人だ。
あまりに“らしい”ものだから、何も言えなくなってしまった。
でも、おかげではっきりした。
これで、全部分かった。
「―――…」
小さい頃からずっと持ち続けてきた疑問の答えが、漸く、出たんだ。
そうじゃなければいいな、と思ってきた。
そうじゃありませんように、とも願ってきた。
口では偉そうなことを言っていても、全て悟ったようにすかしていても、
本当は、多分どこかでずっと、祈り続けてきた。
でも――――これが答え。
「今日はお前にそれだけ伝えておこうと思ってな。別に電話でもメールでもよかったんだが」
「…私が直接話したいと思って、呼んでもらったの。だってこういう大切なことはちゃんと面と向かって話しておきたいと思ったから…」
母にとって、私は“いらない子”だった。