おうちにかえろう



………は?





「………。…笑ってないし」



と、言ってみる。


いや、だって笑ってないし。


と、いうか、笑ったつもりとかなかったし。




「いや、確実に笑ってたから今。なぁ?」



雨宮くんが、隣にいる雨宮さんに問う。


彼は、頬杖をつきながら、やっぱり目を丸くしたまま、私を見ていて。




「…うん、笑ってた」



雨宮さんまで、何を言ってるの。


笑ってないし。


ただ、賑やかだなぁって思ってただけで…





「美月ちゃん笑った方がいいよ!!すごい可愛かったよ今!!」


「美月ちゃん…小悪魔スマイル…」



何やら興奮気味の入間さんと、親指を立ててきた梅田さん。


2人まで何を言ってるの…



…やめてよ。


そんなの、知らないよ。


笑ったつもりなんて、なかったんだってば。




「…笑ってないですから」


「また言ってる!!笑ってたよ!?俺も雛ちゃんもばっちり見たし!!ねぇ!?」


「可愛かった…」




何この盛り上がり。


どうしたらいいの。



訳分かんない。



やめてよ、本当に。






「お前…笑ったりするんだな…」


「美月ちゃんのことなんだと思ってんだお前は」



雨宮さんに突っ込まれても雨宮くんはまだ何か言ってるし、しつこいよ本当に。


どんな顔すればいいっていうの。


一気に分からなくなったじゃない。





「おお…!檜山が照れてる…!」


「…は?照れてないから」


「いや、お前、顔めっちゃ赤いから」



「赤くないから…!」




と、言いつつも、自分の顔が熱いことには、気付いていた。


もうやだ。


ほんとやだ。



(お、落ち着け…ここで取り乱したら思うつぼに…)




そう、私、こんなキャラじゃないんだってば。


とりあえず、落ち着かないと…


落ち着かないと…!







「…あ…!」



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