おうちにかえろう





「……どうしたらいいでしょうか……もう、私…どうお詫びすればよろしいでしょうか……」


「いいからとりあえず頭上げろ」



がっくりと項垂れていた私に振ってきたのは、雨宮さんの呆れたような声だった。


だがしかし、そう簡単に上げるわけにもいかないのだ。


もう、本当に、自分が情けなくて情けなくて。





「落ち込みすぎ」



目を合わせるのだって、とても気まずかったのに、雨宮さんがしゃがみ込んで、顔を覗き込んできたものだから視線がぶつかってしまった。


…ああ、思いくそ呆れている…


本当にすみません…





「そんな顔すんな。むしろこっちはいいもん見れたと思ってるくらいだし」


「…いいもん?」


「目の保養にもなったし」


「………目の保養…?」


「それはこっちの話」



と、突然目を逸らされてしまったけれど、何の話だろう。


それ以上突っ込むことは出来なかったけれど、…何の話だろう…





「とにかく、昼飯作ったから食ってけ」


「、」


「今望も呼んでくるからそこ座ってて」




当たり前のように言われてしまったから、つい身を乗り出してしまった。


だって、迷惑かけまくった上に、これ以上お世話になるわけにはいかない。



「…それはいけませんこれ以上お世話になることは出来ません申し訳なさ過ぎます私にはいただく資格がありません」


「えらい舌回るのな」



じとっと睨まれてそんなこと言われても、褒められてる気がしません。





「勝手に用意してごめんネ」


「…心が全くこもってません」


「勝手に作っておいて悪いんだけど、せっかく作ったのに残されるのも切ないんだけど」




テーブルの上に視線をやった雨宮さんにつられて、私も同じ方向に目をやった。



ここからじゃ、どんな料理が並べられているかは見えない。



だけど、美味しそうな湯気が立ち上っていることだけは分かった。






「悪いと思うなら、食ってってよ」


「………。」




そんな風に言われたらもう…



断れるわけがない。





「…………いただきます」







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