奪取―[Berry's版]
 うわ言のように呟いた喜多の言葉。どこか、ひっかかりを覚えながら、絹江は久しぶりに包まれる穏やかな温もりに。誘われるよう、重くなる瞼に逆らうことなく、眸を閉じたのだった。

 ※※※※※※

 喜多は、パソコンのディスプレイを眺めながら、低い唸り声を上げていた。表示されているのは、箕浪から送られてきた調査中間報告書だ。春花から依頼を受けた際にも気になっていたことではあるが。改めて報告書へ目を通すと、それは明らかに、違和感となって喜多の目の前に転がる。
 眸を閉じ額に手を当て、喜多は思案する。あまりにイレギュラーな方法ではある……が。
 何かを決心したように。喜多は胸ポケットから携帯電話を取り出した。報告書に載っている電話番号を横目で確認しながら、その数字を押していったのだった。

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