ただ一つの願いさえ
重い過去


ーピピピピピピピピピp
めざまし時計にはAM4:32の文字。
いつも目覚めるこの時間。

今日から高校1年生の私、松野亜音
私は、温かかった布団の中から手を出し必死にスイッチを押す
ーピピピピピピーーー
「なんで止まんないのよッ!!」
一向になり止む気配をみせないめざましに怒る
「ついに壊れたかぁ・・・」
このめざましは一昨日頃から調子が悪かった

今日入学式なのに。。。
ついてないなぁ、、、

そう思いながら体を起こし、リビングへ向かう

ガチャッ。

いつものように椅子に座り、生のままの食パンを噛じる

「うわっ、冷たぁっ!!」

あ、今日はかなり冷えてるってテレビで言ってたな・・・
ふと思い出す。
ときどき、温かいパンも食べたいと思うけど、
作る気なんてさらさらない。

料理なんて教えてもらったことないもん・・・

だって私には、



私には、
  両親がいないから。。。。。。






私の両親は、私がまだ幼い頃交通事故で死んだ。
相手の車の飲酒運転。

幼すぎた私には何が何だか分からなくて・・・

病院から帰ってきた両親の体を

一生懸命に揺すっていたという・・・

しばらくして私は遠い親戚に預けられた

見たこともない顔、聴いたこともないその声を

受け入れることができなかった

それからの生活は散々だった。

日々行われる暴力。

食事中、お箸を落としてしまっただけで

叔父、叔母はわたしが鼻血を出すまで殴り続けた

「痛いっ、いたいよぉ」

幼い体で精一杯の抵抗するたびに

その強さは増していった。

そんな生活が続き8年が経った

私は地獄のような生活から抜け出すため

独りで家を出た

家を出て数日は、もしかして追いかけてくるかもしれないという

どうしようもない思いにかられた。

家もない、お金もない、これからどうしようかと思いながら

街を歩いていたら、
「君、もしかして家出したの?
 もしよかったら僕が持っている部屋を貸そうか?」
と訪ねてきた人がいた。

いまどきこんな人もいるんだ・・・

私は一瞬戸惑ったがお金がない状況でどうしようもないと思い

素直についていくことにした。
移動中、彼は何かを聞くわけでもなくただただ私の顔を
見つめていた。

「な、なんですか?」
思い切って聞いてみた。
すると彼は、
「もし、僕が君に声をかけなかったら今頃どうしてたんだろうって
 思っただけ・・・」
率直な質問に少し戸惑った私に、少し微笑んだ。
すごく綺麗だった。

私はそのまま彼の家に住むことにした。
彼は、私を学校にまで入れてくれた。
今でもすごく感謝してる。
これが私の過去。
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