病原侵食
□□


『はい、もしもし?佐藤ですが』


通話口に出たのは、前に電話に出た時と変わらぬ、おっとりとした奥さんの無邪気な声。




イイ気なものね。



何も知らないで。



可哀想すぎて涙が出るわ。



今から残酷な事実を貴女に告げてあげる。




「……佐藤奏さんの奥様でいらっしゃいますか?私、佐藤さんの部下の結城阿里沙と申しますが、今日は折り入って奥様にお話が……」




最初は、あくまで部下としての態度を通して、先方の警戒を弛めた。



『あらー…それはそれは、いつも主人がお世話になっております』



このオンナが言った『主人が』という一言に、カチンときた。





……そんな資格ないくせに。



録にあの人の居場所も作ってあげられない出来損ないのオンナの癖に、女房面してるなんてせせら笑えるわ。











今からアンタが見るのは、地獄の苦しみよ。
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