あの頃…
「うう、寒い」

自走ドアが開いて、一歩踏み入れれば温かな空気

思わずほっと息をつく

慣れた足でく医局への階段を上り、ロッカールームのドアを押す

「あ、しるふ。お疲れ」

声をかけてきたのは飯田莉彩

丁度休憩中のようだ

「久しぶり、莉彩」

「聞いたよ。黒崎先生にお呼びだしされたって?」

「うん」

苦笑しながらカバンから白衣を取り出す

「クリスマスイヴだっていうのによくもまあ」

感嘆の声はしるふに向けられたもののようだ

「まあ、黒崎先生には逆らえないし、それに」

それに

たとえそれがデートの誘いではなくとも、こうして会えることがうれしい

だから構わない

「それに?」

「それに、ケーキおごってくれるって言うし。莉彩は?今日彼氏さんと出かけないの」

へえ、ちゃっかりしてること、と感心している莉彩に問う

「人混みあんまり好きじゃないのよ。それにあっちも仕事だし、いつも通り家で少し豪華な食事付くって終わりかな」
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