あの頃…
「飲めと言われれば飲むが、進んで飲もうとは思わない」

気がつくと時計の針が2時間ほど進んでいるし、何より体が痛くなっている

「それは飲めないのと変わりません。接待とかないんですか」

なんて失礼なことを面と向かって聞けるのはしるふだからだと

神宮寺は思っている

「俺が接待なんて行くと思うか」

でも、最近この手の話を出しても海斗が拒否反応を示さなくなった、と密かに思っている

「思いません。似合いません」

本当、いい性格をしている、そう思ったのはまだしるふに意識があった頃


「だから、なんで俺が送って行かないといけないんですか」

そろそろお開き、と思われた頃神宮寺に呼ばれて店の奥のカウンター席に行けば

しるふが寝息を立てている

「だって、黒崎先生立花先生の指導医だし」

「だから勤務外ですって」

しかもこんなこと常務内容に入っていない

「しかも同じ方向じゃない、お二人」

楽しそうな笑顔に瞳を細める

「知りませんよ、立花の家なんて」

興味すらない
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