あの頃…
第2章

とある日常2

「ったくもー、なんで…!黒崎先生は、あんなに優しくないのかな…!」

黒崎病院の端

ほとんど物置状態になっているそこにしるふの姿がある

昼なのに薄暗いそこは、空気もどこか冷たい

「つか、やっぱり生きてる世界が違うのよね…!」

研修医で3LDKとかあり得ないから…!!

思わず力の入る手の先で、以前よりは見れるようになってきた結紮

しゃべりながらでも手が動くようになったのは、

まあ、進歩なんだと思う

「真面目に練習してるかと思えば、口から出てくるのは黒崎への不平不満ばっかりだな」

お気に入り

背後からけだるげな声をかけるのは、この人気のない場所でいつもいつも

昼寝という名のさぼりを決行している荒井医師

「立花です!!仕方ないじゃないですか!!黒崎先生が鬼なのがいけないんです!!」

鬼なのがいけないのか、

研修医という多忙かつ安月給の身で好条件の物件に住んでいたことが気に食わないのだか

果たして、海斗も面白い研修医に当たったものだと荒井は思う
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