あの頃…
「黒崎先生はどこかの御嬢さんとか、花よ蝶よと育てられた人ばっかり知ってるからそう言う感想を抱くんですよ」

今時3歩引いた女の方が珍しい、としるふは思う

最期の一口を口に放り込んで、ビニール袋から取り出すのはカツサンド

さすがに海斗が一瞬固まったような気がしないでもない

「いろいろ意表をついてくれるよな」

しょっぱなから海斗のことをただの医者と認識していたり

黒崎病院跡取りだと知った後の言葉が、「そういえば、黒崎先生って」だ

コンビニスイーツの新作は発売日当日に必ず胃袋に収めるほどアンテナの張っている女が

まるで興味ないという様に変わらずに接してくるのが

不思議で、驚きで、でも悪い気は決してしていない

「意表をついてくれるのは、黒崎先生の方ですよ」

研修医時代に3LDKとかあり得ません

まだ根に持っているようだ

「そういえば、黒崎先生の愛車ってBMだって本当ですか?」

この間看護師が噂してるの聞いたんですよ

海斗なら有り得なくもないと横を通り過ぎた

「俺は国産支持者だから」

「なんだ」

じゃあ、あれはそうだったら様になるよね、とかイメージは、という話か

「黒崎先生って、ザセレブって感じしませんよね」

口悪いし、どこに放り込まれても生きていけそうな感じが全く御曹司という感じはしない
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