あの頃…
第3章

とある休日

からからと氷が音を立てる

回せば溶けた氷と混ざってせっかくのカフェラテが薄くなってしまう

でも、手は止められない

「……絶対、認めてやらない」

頬杖を突いて息をつきつつ、誰ともなしにつぶやく

何を認めないかって

それは、もう

「絶対、認めない」

あの鬼としか表現しようのない指導医が、根は優しくて

それに時々振り回されてるなんて

あの声が探しに来てくれたとき、それを期待していたなんて

うれしかったなんて

年甲斐もなく人前でないたなんて

何も認めてなんてやらない

薄茶色になったカフェラテをそっと口に含めば、

「…薄い」

随分と氷が溶けてしまっていたことに気がつく

それだけ考え込んでいたってことか

それに気がついてふ、と息をつく

「好きなんかじゃないもん」

揺れる水面を睨み付けながら自分に言い聞かせる

そう、絶対に好きなんかじゃない

あんな、やつ
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