赤い結い紐
「なんでよ? 人が親切で言ってあげてるんだから、素直に教えなさいよ。

ねえ、芸能人で言うとどんな感じなの?」

しつこく食い下がる千華にどう答えようか迷っていると、珍しくレイラが助け舟を出してくれた。

「千華、『いい』って言ってるんだからやめなさい。

どうせものすごくブサイクで、人目に晒(さら)せないような相手だから恥ずかしいんだよ」

にっこりと極上の笑顔で放たれた言葉に、

武は返す言葉が見つからず、深くうなだれた。

「ふーん、別に恥ずかしがらなくてもいーのに」

そう呟く千華には効果があったのかもしれない。

とりあえずは助けられたのだろうか。

一応、あとでお礼を言っておこうと武は思っていた。

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