Bloom ─ブルーム─
「いーよ。見せびらかせとけば」

「でも」

「そしたら、もう里花に告白しようとする奴、いなくなるだろ」

「……」

そんなことしなくても、きっと、私に告白したい人なんてもう絶対いないと思う。

けど、それって、告白された私に妬いてくれたのかな?って思うと嬉しいから、拾わない。

それに。

それって、同時に、先輩に告白する女の子も減るかもしれないってことだもんね?

「でも、健さんは怒るかも」

あの具合悪い変なオジサンメイクが見せ物になったら……。

「たまには仕返ししてやらないと、俺らやられっぱなしじゃん?」

「ぷぷ」

健さんのイタズラは、愛情の裏返しだけどね?

「大樹先輩に、隙があるからですよ」

そう言って、笑いながらなくなった揉み上げを指差すと

「もうそろそろ、呼んでもいいんじゃない?」

って先輩が私の顔を覗き込んだ。

「“大樹”って」

そして、私の手を握るとまたポケットにしまいこむ。

途端に顔が熱くなる私。

きっと真っ赤だろうなと思うと恥ずかしくて俯いた。

“大樹”なんて、呼べるのかな、私。

でも、涼しげに笑ってるんだろうなって、そっと見上げた彼の耳が真っ赤だったから。

「あ、FRISK食べる?」

平静装って口にする彼のその言葉に、私は吹き出してしまった。



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