弁護士先生と恋する事務員

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「せっかく集まったんだから、写真でも撮っておくか!おーしみんな、もっと寄れ。」


先生が突然立ち上がってスマホを構えだした。


「あ、私が撮りますよ!先生、入ってください。」


「いいからいいから、詩織も入れ。いいか、写すぞ。せーの!」



カシャ。



写したばかりの画像を覗き込み、渋い顔をする先生。


「おいジュリア、お前24にもなってヘン顔すんな!真面目にやれ。」


「はあ?してないし。」


「してるだろう、ほら!」


先生がこちらに向けた画面には、白目をむいたジュリアさんの残念な笑顔が写っていた。


「ぎゃー、見せないで!!ママ、あのオジサン、デリカシーのかけらもないんだけど!」


「がはははは!」


相変わらず柴田さんは豪快に笑っているだけ。


「プッ、あはははは!」


たまらず吹きだしたという風に、尊君と瑶子さんも楽しそうに笑っていた。



「ようし、もう1枚撮るから、気合入れろよ?せーの!」




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そこに写っていたのはみんなの笑顔。



それがなんだか、ひとつの家族みたいに思えて



私の胸がじんわりと温かくなったのでした―――




*『うちのセンセイ』[8]14歳の孤独な迷走/おしまい*
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