たなごころ―[Berry's版(改)]
 堪らず、笑実の眸から大粒の雫が頬を伝う。笑実は、自身の手を包む箕浪のそれを握り返した。強く、強く。掌から、言葉だけれは足りない想いが伝わるように。

「――はい」

 震える声で、肯定の言葉と共に、笑実は首を縦に振る。
 顔を綻ばせた箕浪が、笑実の額に唇を寄せた。額を合わせ、見つめあいながら。箕浪が口を開く。

「これから、ずっと隣にいて欲しい。ふたりで幸せになろう」
「はい」

 笑実は、心に決めていた。この手を、箕浪の手を。この先、決して離しはしないと。


 ――END――
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