チューリップの記憶
第一章.始まりの季節
 

私が所属するバレー部は週1で外練習がある。


地面に落ちたボールは瞬時に汚れ
日差しが強い日は厳しい練習に
体育館での練習よりも早く体力は消耗されて
靴もTシャツも泥だらけになるということで
皆は、外連の木曜日を嫌っていた。


そりゃ私も練習するなら
外より中が良いってずっと、ずっと思ってた。



だけど、外連じゃないと見れない
あの人の姿がすぐ隣に見えることが嬉しくて。


授業中には聞けない大きな声に
サッカーボールを必死で追いかけ
ライン際にある水のボトルを手にがぶ飲みする彼を
私は、気づくと目で追うようになってしまっていた。



それは甘くて、儚い恋の始まりだった。

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